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「あはっ、光莉その前髪どうしたのっ?」

「うう、そんなに笑わないでよう」



久しぶりの学校。
こもりんに会うのも久しぶりだ。

部活を頑張っていた証拠に、日焼け対策はしていただろうけれど、それでもしっかりと日に焼けている。


ただ、それを指摘するまでもなく、こもりんは私の前髪を見るなり吹き出した。その気持ちはわからなくもないけれど。



「うっかり手が滑っちゃったの!」

「んふ、にしては思いっきりいったねえ」



はあ、と息がこぼれる。

新学期だから心機一転、と思って前髪を揃えようと思っただけだったのにな。


ちょっと切りすぎた、どころではない。
いつもは目と眉のちょうど真ん中あたりで切り揃えている前髪。


それが今、毛先はどこにあるかというと。




「オン眉……というか、もうオーバー眉だよね」



オンどころではない。手鏡で改めて確認してから、こもりんにべそべそと泣きついた。

眉が全部あらわになっているのも恥ずかしいし、おまけみたいに残った前髪もさらに恥ずかしいし。だからって前髪を全カットするってわけには……、だし。



「前髪短くなると、けっこう幼くなるね」



こもりんが感心したように言う。
うう、とまた一段と恥ずかしくなって手で前髪を覆い隠した。