「かなわない、って知ってるんだ」
“かなわない”。
叶わない……?
それとも適わない? はたまた敵わない?
みなみちゃんのその言葉には色んな意味が込められている気がして、何も────みなみちゃんと篠宮くんの間にあるものなんて、何も知らないのに、胸のあたりが重くなった。
「だからね」
「……?」
私に向かって、次の瞬間放たれたのは、予想もしなかった言葉だった。
「ひかちゃんは何も気にしなくていいからね!」
「……え?」
どういうこと、だ。
意味がわからずに固まった私に、みなみちゃんは言葉を重ねる。
「遠慮しなくていいから!」
「え、遠慮?」
「だって、ひかちゃんもほら……」
きょとんとする私に、焦れったそうに。
みなみちゃんが重ねた言葉はさらなる衝撃だった。
「朝陽のことが、好き、でしょ?」
「へ……っ、えええ!?」
驚きのあまり、思わず後ろに飛び退く。
待って待って待って。
慌てる私の様子を、言い当てられたからだと思ったのか、みなみちゃんは。
「見てればわかるよ〜、そんなの」
なんて、けらけら笑うけれど。



