苦しい。
喉のあたりになにか形のないものが込み上げてきて、つかえて、息がうまくできない。

胸の奥が熱くて、やっぱり苦しくて、少し痛い。



「瑞沢?」



不思議そうに首を傾げる篠宮くん。
慌てて、なんでもないよって首を横にふる。



「あの、プレゼント、ぜったいぜったい大事にするね」

「気に入ってくれてよかった」

「ふふ、毎日つけたいくらいだよ!」



せっかくだから今つけようかなあ、と思って。左手首にブレスレットをつけようとするけれど、右手だけだと留め具をうまく扱えない。

あわあわと苦戦していると。



「俺がとめようか」

「ええ、いいの? ありがとう」



篠宮くんが助け舟を出してくれる。
左手首を差し出すと、篠宮くんの指先が器用にとめてくれた。



「はい完成」

「ありがとう……!」



嬉しくて、左手首を目の前にかざせば、ブレスレットがひかりを反射してきらめく。

可愛い。宝物がひとつ増えた。

お店でこれを選んでくれる篠宮くんを想像して、また嬉しくなる。



にやにやとゆるむ頬がおさまらない私。
それを優しく見守ってくれる篠宮くん。



────しばらくして、わざとらしくため息をついたこもりん。


「あのー、そろそろ二人だけの世界に入るのやめてもらえるー?」


からかうような口調でそう言われて、やっとのことで我に返ったのだった。