その場限りの雨のように、どこか遠くへ流れていきたい。
蒸発して、一度は周りから見えなくなって、新しくなってからまたみんなのところに降りる。
それを繰り返す雨は強い。
こんな場所、消えて無くなればいいのに。
それでも結局思うだけ。
なんにもできない自分は無力だ。
いっつもどうにもできない思いから吐き出された笑いが口から出て終わり。
ぼやけた視界からは何も見えない。
地面に打ち付ける力強い雨の音だけが聞こえる。
深月の声はもう聞こえない。
また聞こえるかもしれないという恐怖で体が震える。
「─────誰だ」
初めて聞く低い声に、思わず後ろを向く。
黒い傘をさしながら、こっちを見て目を見開いていた。
「お前···あかねの···」
あかね···?
「··な、んで、あか·ね兄の··こと···」
