囚われの女神は焔と共に。


夢の中にも普段の生活にも現れて、毎晩うなされて。


朝起きると乱れた呼吸と汗ばんだ体。


夢の中であいつに触られたところを、風呂場で掻きむしって傷だらけになったこともあった。


ちゃんと眠れるのはあかね兄がいる時だけ。


逆にいない時はほとんど寝れない。


今日みたいなことが毎日なんて耐えられない。


けど、忘れようとすればするほど蟻地獄みたいに落ちていく。


消そうとするたび、記憶はより鮮明になる。


もう···逃げられないんだって諦めた。


雑に片手から解放した髪の毛は、強く握ってしまったからか絡まっていた。


「あーあ、ぐっちゃぐちゃ」


思わず声が出るぐらい、無残な姿になった髪の毛。


掠れた声で呟いたその言葉は空気と混じり、響きながら消えていく。


心は全部の色を混ぜた色みたいにくすむ。


この場所にいて、私も濁った空気に呑み込まれたみたいだ。