ぐずぐず泣きながらも、さっき見た映画のマリンスノーが忘れられなかった。
私たちが幼い頃かわした叶うことがない約束。
あの頃はマリンスノーが深海じゃないと見られないなんて知らなかったから。
海に行けば見られると思ってたっけ。
初めて海に行ったときに見れないって知ったときはふたりして大泣きして。
お母さんたち、泣き止ませるの大変だってぼやいてたなあ。
これだけ大きくなった今じゃ、仕方のないことだって分かる。
でもあの時は。
ほんとうにあの海に降る雪を手に入れられるって信じてたっけ。
「ねえ、うみくん。」
「なに?」
「あの時の約束、覚えてる?」
「……覚えてるから、今日誘ったんだよ。」
うみくんの方を見たら優しく微笑んでいて。
またきゅっと胸を締め付けられた。
「見れるわけないのに、本当おバカだよね。」
えへへと笑ってみせると。
うみくんは真剣な顔をして、こちらをみた。
「僕、研究者になろうと思うんだ。」
映画館に設置されたスペース。
周りにはこれから上映を楽しみにしているお客さん。
わいわいガヤガヤ、雑音が多いこの場所で。
不釣り合いなくらい真剣な話を、真剣な顔で伝えるうみくん。
その声はしっかりと私の耳元に届いて。
私の涙を止めるには十分だった。
「マリンスノーを見つけたのは、北星大学の研究者らしいんだ。
僕はもっと海に住む生き物たちの研究がしたい。
だから僕は、北星大学へ行ってもっとしっかりと研究したい。」
思い出した。
去年の4月、一番最初に届いた大学のパンフレット。
北星大学って書いてあった。
好奇心でページを捲ろうとすると。
昔の図鑑と同じ、くっきりと開き癖がついたページが1つだけあった。
水産学部。
他に取り寄せられた大学にも水産学部が存在した。
そしてその学部は、この件には存在しない。
思えば、マリンスノーのことを教えてくれたのはうみくんで。
その時からうみくんは、海の世界の虜だった。
「うみくんならきっと素敵な研究者になるね。」
本心だった。
薄々、気づいてはいたけど。
それでも、本人の口から聞くまでは断定できないから。
誰も言わずに心の中にしまっていた。
私はうみくんの夢を、心から応援したいと思ったんだ。
私たちが幼い頃かわした叶うことがない約束。
あの頃はマリンスノーが深海じゃないと見られないなんて知らなかったから。
海に行けば見られると思ってたっけ。
初めて海に行ったときに見れないって知ったときはふたりして大泣きして。
お母さんたち、泣き止ませるの大変だってぼやいてたなあ。
これだけ大きくなった今じゃ、仕方のないことだって分かる。
でもあの時は。
ほんとうにあの海に降る雪を手に入れられるって信じてたっけ。
「ねえ、うみくん。」
「なに?」
「あの時の約束、覚えてる?」
「……覚えてるから、今日誘ったんだよ。」
うみくんの方を見たら優しく微笑んでいて。
またきゅっと胸を締め付けられた。
「見れるわけないのに、本当おバカだよね。」
えへへと笑ってみせると。
うみくんは真剣な顔をして、こちらをみた。
「僕、研究者になろうと思うんだ。」
映画館に設置されたスペース。
周りにはこれから上映を楽しみにしているお客さん。
わいわいガヤガヤ、雑音が多いこの場所で。
不釣り合いなくらい真剣な話を、真剣な顔で伝えるうみくん。
その声はしっかりと私の耳元に届いて。
私の涙を止めるには十分だった。
「マリンスノーを見つけたのは、北星大学の研究者らしいんだ。
僕はもっと海に住む生き物たちの研究がしたい。
だから僕は、北星大学へ行ってもっとしっかりと研究したい。」
思い出した。
去年の4月、一番最初に届いた大学のパンフレット。
北星大学って書いてあった。
好奇心でページを捲ろうとすると。
昔の図鑑と同じ、くっきりと開き癖がついたページが1つだけあった。
水産学部。
他に取り寄せられた大学にも水産学部が存在した。
そしてその学部は、この件には存在しない。
思えば、マリンスノーのことを教えてくれたのはうみくんで。
その時からうみくんは、海の世界の虜だった。
「うみくんならきっと素敵な研究者になるね。」
本心だった。
薄々、気づいてはいたけど。
それでも、本人の口から聞くまでは断定できないから。
誰も言わずに心の中にしまっていた。
私はうみくんの夢を、心から応援したいと思ったんだ。


