わき上がる声援の中、先輩がわたしの前を通り過ぎるとき。

わたしは叫んだんだ。
あの秋の夜みたいに。


「がんばってください……っ」



あのときのように返事は返ってはこなかったけれど

“ありがとう”

駆けてゆく先輩の後ろ姿が、そう言ってくれたような気がした。