『ほら、福山先輩って俺んちの隣じゃん? さっき俺、たまたま会って話したんだよ。
あの集会のあと先輩、クラスでかなり冷やかされたらしくてさ。お前が先輩のこと好きだって、みんな思いこんでたから。

それで……先輩、“迷惑だ”って俺にぼやいたんだ』

「………」


いつもみたいに笑い飛ばして、ごまかしたい。でも、笑えなかった。

かろうじてスマホを落とさずにいられたけれど、わたしは木下に返事をすることもできず、沈黙を刻む。


“迷惑だって”


わたしの気持ちが……福山先輩に迷惑をかけたんだ。勝手にあんな作文を書いたせいで、先輩を嫌な目にあわせてしまった。