「福山、うざすぎ! 正義のヒーローみたいなの、やめてくれる?」
「そーだよ、超うざい! 消えてよね」


逆ギレした女子ふたりが福山先輩に牙を向けるのを見て、わたしは急にオロオロした。

自分に向けられる牙なら怖くもなんともなかった。でも、先輩にはダメだ。「うざい」とか「消えろ」とか、そんな汚い言葉で福山先輩を汚すのはダメだ。


「あのっ……!」


反論しようと口を開きかけたとき、福山先輩が右手をスッとわたしの前にかざした。大丈夫だから、と言うように。


「わかった、消えるよ。でももうすぐ藤井先生が来るから、お前らも早く帰った方がいいと思うよ」