咲夜:「なぁ…!ちょっと待てよ…!」

茜:「待てないよ…!こんな所で…!」

咲夜:「せっかくさぁ…!」

茜:「もう夜だよ!?閉じ込められてるのに

よく平気だね…!?」

そう…、私達は夕方倉庫の中に閉じ込めら

れ、もう辺りは真っ暗だった。

茜:「どうしよう…。」

咲夜:「そんな心配すること…」

茜:「あるよ!!だって咲夜変態だもん!」

咲夜:「……、直球に言うね…。」

私は少し距離を置こうと、遠くの方に座っ

た。

茜:「はぁ…。よりによってバレンタインの

日に…。」

咲夜:「ん…?何か言った?」

茜:「いやいや!何も言ってないよ!」

あ…危なかった…!!

そう…、私は今日(バレンタインの日)に咲

夜にチョコをあげるつもりだった…。

でも、こんな状況であげるなんてとても危

険!

逃げ場もないし、接近されたら心臓が一瞬で

壊れそうだからだ!

私は、ポケットの中に入ってるラッピングし

たチョコを隠している。

大丈夫…!バレなければいいんだ…!

バレなければ…。

咲夜:「なぁ、さっきから何隠しての?」

茜:「!?!?べ…別に…!!」

咲夜:「ふーん…。あっ、ネズミ。」

茜:「きゃー!!どこどこ!?」

すると、その瞬間に咲夜は私のポケットから

チョコを奪った。

咲夜:「……。これ…。」

茜:「べ…別に、それは咲夜のじゃない

し!他の子にあげるやつだし…!」

咲夜:「ふーん…。」

つい嘘をついてしまった私は、恐る恐る咲夜

の顔を見る。

すると、咲夜の表情はとてつもなく冷たい目

つきに変わっていた。

咲夜:「ねぇ…。そんなこと言ったら嫉妬し

ちゃうよ?」

咲夜は、私を床に押し倒し私の髪の毛に触れ

る。

咲夜:「今日に限ってこんな可愛い髪型し

て…。」

すると、咲夜は私の髪に優しくキスをする。

こんなに接近して…、心臓の鼓動が咲夜に聞

こえそうで怖かった。

咲夜:「好きでもない奴の前で、そんな顔し

たら駄目だよ?」

咲夜の手が私の頬に触れ、触れてるその場所

が熱く感じた。

咲夜:「なぁ…。何か言えよ。それとも、キ

スして欲しい…?」

そのまま顔を近づけてくる咲夜に、もう恥ず

かしさが限界を超えた。

茜:「それ…、咲夜のチョコだよ!!」

私は顔を背けながら言った。

茜:「だ…だから、キ…キスは両思いなって

から…。」

咲夜:「…!?お前、何なの…。」

すると、咲夜は私を強く抱きしめた。

咲夜:「こんなにアピールしてるのに気づか

ないわけ…?」

私は、首を傾げた。

咲夜:「つまりな。俺もお前の事が大好きだ

って事だよ!」

チョコより甘いキスをした私は、顔が赤く

なってるような気がして、咲夜を真っ直ぐ

見ることができなかった。

少し思ったのと違ったバレンタインだった

が、私にとって甘いバレンタインデーだっ

た。