「神楽くん!!」

赤い、赤いチェックのスカート。それが神楽の彼女の動きに合わせて翻る。

「早く行きなよ。」

神楽の背中を押せば、私を振り返った後歩き出した。

「由乃、気をつけて帰れよ。」

「はいよ。」

後ろの方から高い声が聞こえてくる。うれしそうに話す声。

「ははっ、あっつ。」


ああ、やっぱり夏は嫌いだ。

だって暑いし蝉がうるさいし。それに何より、伝えられないまま私の大切な人を奪っていくから。









終。