「神楽、そろそろ自由になってもいいんだよ。あんな幼い頃に交わした約束なんて忘れてさ。」

そう言いながら、神楽を見ても何故かまだ苦しそうな顔をしている。ソレに馬鹿だなぁと1つ笑った。

「俺はあの時の約束があったから由乃のそばにいたんじゃねぇ。自分の意思でいた。」

「そうかいそうかい。ありがとよ。別にあんたに彼女が出来ても私たちの関係は変わらないだろうよ。

だって私達は所詮幼なじみなんだから。」

「そうだな。」

アイスを舐める。もうソーダ味のそれは無くなってしまった。意味もなくプラプラとその棒を振ってみる。

「彼女と夏祭りに行くの?」

「ああ。約束してる。」

もう一度後ろにある海を見ようと振り返る途中で、遠くに女の子がいるのが見えた。

「楽しんで来なよね。さて、私はもう帰るかな。」

「もう?んじゃ俺も、」

「あれ、あんたの彼女じゃないの?」

神楽と私が一緒にいることに話しかけようか戸惑っていたのだろうか。神楽が自分の方を見たとわかった瞬間に声をかけた。