「じゃあ、夕美」
かと思えば、菅原は簡単に私の名前を呼んでしまう。
呼んでほしいと言ったのは私だったけれど、一瞬にして顔が熱くなってしまった。
名前で呼ばれるの、慣れてないし……またドキドキする。
「照れてどうする」
「だって慣れてない、から」
「けど呼んでほしかったんだろ?」
「うん」
呼んでほしかったけれど、恥ずかしいのだ。
仕方がない。
「ふっ、かわいいやつ」
菅原は目を細めて笑った。
それからふと、真剣な表情になって。
ゆっくりと私に近づき、ふたりの距離はゼロになった。
そっと唇を重ねられて、優しいキスだった。
菅原とのキスはいつまでたっても慣れないし、ドキドキしてたまらなくなるけれど……受け入れるように目を閉じる。