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あれから、"ごめんな?"と申し訳なさそうに手をスリスリする動作を繰り返すお父さんと、不安げな顔のと母さんを残し、リビングを後にした。
とてもじゃないけれど、すぐには受け入れられない。
単に許嫁がいて、日曜日に会う……それだけなら、まだしも。
御曹司との婚約披露パーティだなんて、荷が重いにも程がある。
自分の部屋のベッドの上で膝を抱えて、深く考え込んでいた私は、コンコンと部屋をノックする音でふと我に返った。
「姉ちゃん?」
「なに?」
聞こえてきた拓斗(たくと)の声に、思わず不機嫌丸出して返事をしてしまう。
だって、今の気分は最低最悪なんだもん。
ガチャ───と、部屋のドアが開いて、ズカズカと私の部屋に入ってきた拓斗はそのままドカッと床に座った。
どうやら、すぐに帰るつもりはゼロらしい。
「……婚約披露パーティが上手く行けば、お父さんとお母さんに楽させるチャンスかも」
「……は?」
「聞いちゃったんだよ、お父さんたちが話してんの」
「聞いちゃったって……何をよ?」
「姉ちゃんと西園寺家の御曹司がめでたく婚約したら、お父さんは西園寺グループの会社に戻って欲しいって言われてるらしい」
「ほ、ほんとに!?」
そ、それって……今の会社で働いてるより絶対いいに決まってる。
あれから、"ごめんな?"と申し訳なさそうに手をスリスリする動作を繰り返すお父さんと、不安げな顔のと母さんを残し、リビングを後にした。
とてもじゃないけれど、すぐには受け入れられない。
単に許嫁がいて、日曜日に会う……それだけなら、まだしも。
御曹司との婚約披露パーティだなんて、荷が重いにも程がある。
自分の部屋のベッドの上で膝を抱えて、深く考え込んでいた私は、コンコンと部屋をノックする音でふと我に返った。
「姉ちゃん?」
「なに?」
聞こえてきた拓斗(たくと)の声に、思わず不機嫌丸出して返事をしてしまう。
だって、今の気分は最低最悪なんだもん。
ガチャ───と、部屋のドアが開いて、ズカズカと私の部屋に入ってきた拓斗はそのままドカッと床に座った。
どうやら、すぐに帰るつもりはゼロらしい。
「……婚約披露パーティが上手く行けば、お父さんとお母さんに楽させるチャンスかも」
「……は?」
「聞いちゃったんだよ、お父さんたちが話してんの」
「聞いちゃったって……何をよ?」
「姉ちゃんと西園寺家の御曹司がめでたく婚約したら、お父さんは西園寺グループの会社に戻って欲しいって言われてるらしい」
「ほ、ほんとに!?」
そ、それって……今の会社で働いてるより絶対いいに決まってる。


