いや、おかしいよね?
私からこんな事言うの……それこそ何様?な気がする。
先輩方には私から説明するしかないけど、これ以上噂が広まらないように気を付けないと。
「おい、まだ怒ってるのか?」
「へ?」
あまりにも間近で声がして返事が上擦った。
シュンとしながら頭をかく副社長をまたボーッと見つめてしまう。
「からかって悪かったよ、もうしないからさ」
問題は……私なのかな?
隙があり過ぎて……
いや、隙を与えてしまってる。
この瞳に捕まる前に何とか打開策を見出さないと……
常に予防線を張り巡らせる覚悟で……
「深山……頼むから怒らないでくれよ」
「え……何がですか?」
「今朝のアレ、怒ってんだよな?」
「今朝のアレ?」
「エレベーターで…」
「もう言わなくて良いです…!別に何とも思ってないですから。あ、でも二度としないでくださいね?」
ハァ…と心の中でため息をひとつ。
「わかり…ました」
「行っても宜しいですか?」
「ん?あ、あぁ」
「では、失礼します」
秘書ってそもそも何だろう。
どこまでが秘書業務なのか……
私はどこまで仕えるべきなのか……
出て来た私をチラチラ見て笑顔を見せる先輩方。
お願いだから広めないでね…と愛想笑い。
とにかく、仕事ガンバロ……

