「え、何もオプション付いてないじゃん!」



翌日、そう嘆くのはお金大好き人間の女社長、深山乃亜。



「うん、何か普通のデートだった」



「マジ…?何だ、ガッツリ襲われてんのかと思ってたけど?」



「は?な、何でそうなるのよ」



「普通のデートってしらけるわ」



頭抱えたいのはこっちよ。
何を期待してるんだか。



「手は繋いだんでしょ?」



「まぁ、デートだから」



レンタル彼女では手を繋ぐ行為はこちら側がOKなら無料の範囲内。
それ以上の恋人ならではの行為はオプションとなり別途請求になる。
膝まくらとかハグの仕方を教えたりとか、服装指定(浴衣デート等)とかね。



恋人繋ぎも腕組みもバックハグもなかった事にしちゃった。
逆に怪しまれる結果を招いてる。
姉は恋愛のプロ、めちゃくちゃ鋭いの忘れてた。
「ふ〜ん…」が一番怖い。



「だってほぼ毎日顔合わせるんだよ?その方がお互いやりやすいじゃん、私はむしろ好都合だったよ?」



姉の直視に耐えかねて背を向けてソファーに座る。
ヤバ……挙動不審になっちゃった。



「紗和さぁ………」



「な、なに?」と恐る恐る振り返る。



「副社長の気持ち気付いてんでしょ?始めから猛烈にアタックしてきてたし。紗和を買いたいって言ったんだよ?久しぶりだよね、あんな肉食系」



だ、だから何……?



「最初は何よこの人〜から始まって仕事する姿に好感持ったか?強引な彼に終始アタフタして今は止まらぬ独占欲に溺れ始めてる……どう?当たってるでしょ?」