「さっきは助かった……深山が居なかったら完全に逃してたな…ありがとう」
コクリと頷いて耳まで真っ赤だ。
高鳴る鼓動が今にも聴こえてきそうで瞳を閉じる。
もう離したくない。
ずっと側に居ろよ。
隣でいつも俺を見ていてほしい。
抱きしめる腕をトントンと叩く。
「あの…議事録仕上げて良いですか?」と真っすぐ前を向いて言ってきた。
「このままじゃダメ?」
「え……集中、出来ないです」
仕方なく体を離し、デスクの端に腰掛けた。
静かな空間でタイピング音だけが響く。
「そういや後は何語話せるんだよ?」
「英語くらいです。フランス語は以前からスピードラーニングを」
「スピードラーニングだけであそこまで話せるのか?」
「まさかこんなすぐに実践する日が来るとは思わなかったです…フフ」
「笑ってるけど凄い事だぞ?億単位のプロジェクトまとめたんだから」
「よし、終わった〜」
軽く伸びをした後、USBメモリを抜いた深山に再び迫り寄る。
デスクに腰掛けさせて至近距離まで詰めたら…慌てふためくその口を黙らせれるかな?
「副社長っ……落ち着いてください」
「約束、覚えてるよな?」
「え………あ…いや〜」
「今回の会議が上手くまとまったら、俺と…何て言ったっけ?」
「こっちに言わせるとかズルい…です」
ジリジリ詰め寄ったら深山の手が俺を制止する。
お前……今どんな顔向けてるか知ってる?
それ、逆効果だから。
余計止めれねぇから。

