「でも………」
男ってどうしてこう、ここぞという時に決断力に欠けるのか。
女は欲しい時に欲しい言葉を待ってるの。
好きだからこそ待てたりするの。
そこで自信なくされたらあるべき未来が閉ざされてしまう。
それに気付けバカヤロウ!!
「報酬金額、半額で構いませんから」
姉には小言を言われるだろうけど、今はクライアントに悔いが残らないよう全力でアシストするのみ。
この一言で決心つくみたいだね。
ある意味魔法の言葉かも。
「サヨナラ〜」と見送った後メールで報告しようとしたら、目の前に人影が。
ゆっくり見上げ、即座に固まる私。
物凄い形相で見つめるその顔に青ざめ立ち上がった。
「ふ、副社長…っ!?」
何で居るのっ!?
休日でもスーツですか…?
なんて聞ける状況ではない。
最悪だ……
知ってる人に代行してるとこ見られたとか恥ずかし過ぎる!!
しかもレンタル彼女中!!
穴があれば入りたい………
ひぇ〜!何でずっと睨まれてるの!?
皆が怖がる理由はコレだきっと。
怒ってるの!?なんで!?
「なんだ…?今のは」
声が怒りで震えてる……
ヤバイ、逃げよう。
「守秘義務がありますので何も言えません、失礼します」
慌てて立ち去ろうとしてもそうはさせてもらえない。
掴まれた手首。
振り向く間もなく走り出す副社長に引っ張られる。
少し走ったところで手は離れた。
「今のが……前に言ってたレンタル彼女ってやつだろ」

