「余裕なくしてもうボロボロなの?」
ネクタイを掴んだまま目で落とされる。
素直に頷いたらフッと笑う。
どこまで綺麗なんだ。
もうキスしていい…?
「私をどうしたいの?」
また冷たく言い放つ。
妖艶な視線にどんどん惹き込まれていく。
唇を見ながら「抱きたい…」と言った。
「ストップ…」
押し倒しかけた体を戻されデスクを降りる乃亜さん。
「自分本位は好きじゃない」と言われ我に返る。
同じ過ちをしてしまった自分を本気で殴りたい。
「すみません…」
俺……最低だ。
どうしようもないバカだ。
「おまけにまだ下手だし」
「うっ…!ごめんなさい……」
「やっぱ百万年早いわ」
もうなす術ナシ。
ていうかキスってどうやったら上手くなんだ?
わかんねぇよ。
もしかして歴代の彼女も皆そう思ってた?
「他で練習しておいで」
そう言って背を向けるからついムキになって後ろから抱きしめる。
「嫌だ……!乃亜さん以外となんかしたくない…だったら乃亜さんが教えてください」
やめて、今はため息つかないで。
「興味ない人とは出来ないな」
スルリと腕から離れてく。
ノックアウト…だな。
「どうしたら俺に興味わきますか?どうしたら俺は…クライアントじゃなくなりますか?」
最後の望みを託してみる。
もうすでに泣きそうだけど必死に耐えてる。
こんな質問する時点で相当だけど泣くのはもっと格好悪い。
全部の望みを託したのにサラッと軽く答えてくる。
「え、クライアントにならなければいいだけの話でしょ?」
「え……?」
「レンタル彼女なんか依頼するからダメなんじゃん。一度でもクライアントになったらもうそういう目でしか見ないから」
なんか、目からウロコ………

