「副社長にしか出来ない仕事ですよ?胸張って行ってきてください」



そうやって俺を上げるのも上手いよね。
単純に嬉しいからつい格好つけちゃうんだ。



「俺が居ない間…宜しくな」



「はい」



「俺以外にその笑顔見せるなよ?」



一瞬止まって…また笑顔になる。
照れてる顔も可愛くて……
つい「今の顔も俺だけにして」とか言っちゃう。
つまり、独り占めしたいの…!!



車に乗り込んですぐに唇を奪ってしまう俺を許して。
もう少ししたら離れちゃうんだ、このくらい良いだろ?
大目に見てくれよ。



「モーニングキス……なんちゃって」



「もう……!シートベルトしてください」



真っ赤になりながら手で仰ぐ。
ゆっくり進む紗和の運転。



あぁ、マジで離れたくねぇ。
毎日電話するからちゃんと出ろよ?
他の男に言い寄られてもキッパリ断われんだろうな?
頑張って良い方向に話まとめてくるから、帰って来たらご褒美くれよな?



空港で専務が来るギリギリまで手を握っていたからかなり困らせたけど、最後はいつもの笑顔で見送ってくれた。
ビシッと秘書らしく一礼をして。