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誰かが、私を呼んでいる。
波留、こっちにおいでって。
その人の姿は見えない。
ただ、声だけが聞こえる。
何度も何度も、私の名前を呼んでいる。
これは何?あなたは誰?
「夢……?」
うっすらと天井が見える。
ボーっとする中で必死に目を開けると、
そこは見慣れない部屋だった。
びっくりして飛び起きる。
頭が追いつかないけれど、
なんとか状況を整理しようと一度目を強く閉じた。
ここはどこだろうか。
見覚えのない部屋で私は寝ていた。
引っ越しでもしたんだっけ。
ううん、そんなはずない。
私は車の中で寝ていたはずなのに、
気づいたらベッドで寝ていた。
それに、あんなに暑かったのに、
今はとても寒い。
恐る恐る目を開けた。
目の前にクローゼットが見える。
視線を彷徨わせると、勉強机にタンス、
そして部屋の中央に小さな丸テーブルが確認出来た。
丸テーブルの上にある小さな電子時計を見ると、
現在の日付は十二月八日だった。
変だな。私の記憶ではまだ七月だったはずなのに。
どういうこと?
まさか五か月も眠っていたわけじゃないよね?
部屋の中をぐるぐると回って考える。
これは夢なのかな。
試しに頬をつねってみると当たり前に痛かった。
ということはこれは現実ってことだよね。
どうなっているの?


