思い切り泣いて、
しばらくして私は泣き止んだ。
鼻をすすって目をこする。
尚央は私の体を離して私を見つめると、
私の鼻を少しつまんだ。
「メイク、落ちちゃったな」
「うそ」
「ま、かわいいからいいけど」
尚央はおどけてそう言ってみせた。
ヒューっと口笛を吹いて尚央が笑う。
八重歯がかわいく目立っていた。
その屈託のない笑顔を見ていると、
自然と笑えてきた。
ふっと笑ってみせると、
尚央は満足げに頷いて、また私の頭を撫でた。
尚央に撫でられても、
今度は涙が出てくることはなかった。
きっと、尚央のおかげ。
悲しいけれど、さっき思い切り泣いたから
もう涙は引っ込んだみたい。
撫でられているのがくすぐったくて、嬉しくて、
私は今度は声を立てて笑った。
「どれ、立ってもう一度、
俺にかわいいとこ見せてくれる?お姫様」
お姫様だなんてまだ恥ずかしいけれど、
私は頷いて立ち上がり、くるりと一回転してみせた。
尚央はまた口笛を吹くと「百点」と言って拍手した。
私は調子に乗ってお辞儀をしてみせた。
なんだか本当にお姫様みたい。
「さ、帰るか」
「うん」


