なんて素敵な声なの?
ほどよいハスキーボイスが耳に響く。
ディスプレイを見ると、
見覚えのあるタイトルが流れていた。
ノートを確認すると、確かに
ノートに同じタイトルが書いてある。
この人の好きな曲か。
昨日の私も、これを聴いたんだ。
「すぐ着くから、待ってな」
「うん」
尚央は私を見ようとはせずに、
前を向いてそう言った。
片手でハンドルを操作し、
もう片方の手は窓に寄りかかって頬杖をついている。
なんだかその姿がとても絵になるなと思って見つめていると、
尚央は前を向いたままクスリと笑った。
「そんなに見るなよ。照れるだろ」
なんで見ているのがバレたの?
慌てて目を逸らすと、尚央は更に笑った。
「ミラーに映ってるんだなぁ。
お前が情熱的に俺を見つめているのが」
「じょ、情熱的って!私は別に」
「何?俺に惚れた?」
「惚れてない!」
からかわれていることになんだか無性に腹が立つ。
頬を膨らませると、尚央の手が伸びてきて私の頭を撫でた。
ぐしゃぐしゃと乱暴に撫でる尚央は笑いながら
「ごめんごめん」と言った。
謝る気がないなと思いながらも、
ため息をついて姿勢を正す。
車はすぐに目的地へと着いたみたいで、
ゆっくりと駐車場に止まった。


