次第に眠くなってきたのか、
目をこすり始めた雄介をベッドに入るように促して、
私は自分の部屋に戻った。
ノートを開いて、雄介のことを書いていく。
するとふと、尚央のことを思い出した。
「また明日な」と尚央は言ったけれど、
本当に明日、私たちは会えるのかな。
もし、私が日記と違うことをしたら、
あの喫茶店に行かなかったら、
私たちは会えないわけで、
連絡先も交換していない私たちには連絡の取りようがない。
そうなったら私たちは一生会えないかもしれないのに、
尚央は当たり前のように明日会おうと言った。
その声がさっきから耳に響いて離れない。
私は眠ってしまったら
明日には今日のことを忘れてしまっている。
雄介と話したことも、尚央と一緒にあの景色を見たことも全部。
そうしたら、私のこの思い出はどうなるんだろう。
「尚央、かぁ」
ポツリと名前を呟いた。
女の子みたいな名前。
ふふっと一人で笑うと、眠気が襲ってきた。
ノートを閉じてパジャマに着替える。
その間、無意識に尚央、尚央と名前を呟いていた。
こうして呟いていれば、もしかしたら名前くらい
覚えていられるんじゃないかと思ったの。
単純だけど、そう思って必死に口に出した。
忘れたくないと、何故かそう思った。
眠りに落ちる寸前、尚央の笑顔が頭に浮かんで、
そして消えていった。


