ぽかんとしている私を促して、
施設長は背中をそっと押した。
私は立ち上がって施設を出た。
気持ちのいい天気で、ほどよい寒さが心地よい。
目を思い切りこすると、私は歩き出した。
ノートを開きながら道を確認する。
公園があって、しばらくすると
記述通り蛙のオブジェがあった。
そして見つけたのが喫茶店、「ヴァポーレ」。
雰囲気のいいお店で、中に入ると
カランコロンと軽快な音が響いた。
ポニーテールを揺らした若い店員さんが出て来て、
にこやかに「いらっしゃいませー」と言った。
お店の中を見ると、ちらほらとお客さんがいた。
好きな席に座っていいと言われたので、
私はキョロキョロと目を泳がせて、
一番奥の窓際の席に座った。
日が当たって気持ちがいい。
お水を持ってきた店員さんが、
「ショコラミントですね?」と訊いてきた。
ノートを見て、びっくりする。
なんで私の頼みたいものが分かるの?
とりあえず頷いておいてしばらく考えた。
ああ、もしかして同じ店員さん?
だとしたらなんだかちょっと恥ずかしい。
俯いて待っていると、すぐに運ばれてきた。
可愛らしいグラスに注がれたショコラミント。
それを飲んで一息つく。
ふぅ、なんだかどっと疲れた。
記憶の整理ってこんなに疲れるのね。


