「ふむ」と、圭介は一花の言葉を嚥下するように深くうなずいた。

「デザインとは関係ないことばかりで、すみません」

「いえ、十分役に立ちます」
その瞳に好意的な彩りが宿っていると感じるのは、独りよがりな願望だろうか。

「どうもありがとう。時間を取らせてすみませんでした」

「とんでもありません」

話はそれで終わった。
彼とはそれきり、と当然のことながらそう思った。
仕事で起こった、ちょっぴり刺激的な出来事として記憶にしまわれるはずだった。