同期の汐里と、ばったり社員食堂の前で居合わせたため、一緒に食べることにした。

そうして、2人で食堂内に入ったのだが。

今日の食堂は、普段に比べて何倍も賑わっていた。

そのとき、汐里が女性が群がっている奥の方を指差す。



「ねぇ、あれ。あの集まり、何だと思う?」

「んー、何だろうね」



私も背伸びをしながら見るものの、その群衆の中心は見えない。

まあ、それはそれで一切関わらずに置いておいても、何一つ問題は無い。

そもそも、私たちは食堂へ昼食をとりに来た。

それ以外のことをする必要は無い。



「まぁ、いいよ。食べよ」

「みさおは、気にならないの?」

「うん。それより、お腹減っちゃって」

「相変わらず、マイペースだねぇ。まぁ、そういうところが良いんだけどさ」



「ありがとう」と言えば、汐里は悪戯っぽく微笑む。

その明るい垢抜けた様は、私にはとても眩しい。

券売機で、おろしハンバーグ定食の券を買い、カウンターへ進む。

すると、先程の賑やかな群衆へと、より近付くことになる。

定食を受け取るために、カウンターを4、5歩横移動したときだった。

突然、汐里が声を漏らした。



「イケメンがいる……」

「え?」