相槌を打ちつつも、相変わらず、吾妻さんは不安そうな顔で居る。

──どうして、そんな顔をするのだろう。

考えながらも、迫る時間に気付き、今日言いたかったことを、余すことなく言い切る。



「あの子のようになりたくない、と言うのは……そういう意味です」



悔いの無いよう、最後まで言い切る。

すると、吾妻さんは温かく返してくれた。



「大丈夫。みさおさんはみさおさんだから、他の人と同じにはならない。それに、みさおさんは優しいんだから、自分にも優しくして、自分を信じてあげて」

「はい。ありがとうございます」

「……うん。さて、カウンセリング終了時刻まで、あと10分くらいですが、話しておきたいことはある?」

「今日は、もう大丈夫です。言いたかったこと全部、吐き出させていただきました。ありがとうございました」

「こちらこそ。ありがとうございました」



吾妻さんがにっこりと笑う。

そして、今日の資料を整えながら、何の前触れも無く、唐突に言った。



「気をつけてね」

「え」