「じゃあ、質問してもいい?」

「はい」

「みさおさんが思い描いている『素直』な姿って、どんなもの?」

「それは……」



──あれ?

考えてあったはずが、ぱっと浮かんでこない。

昨日までは、明確に文章になってたはずなのに。

思わず、考え込む。

黙り込んでしまった私を、吾妻さんは静かに見守っている。

──私がユウくんと、どんな風になりたいのか。

──このままの私じゃ嫌だ、そう思った理由は。

自分に問い質すと、自然と頭に浮かんだ。



「ストレートに思っていることを伝えられて……」

「うん」

「あと、女の子らしく甘えられる……それから……えっと……」



そこで私の声は止まってしまった。

自分でも、奇妙だった。

まるで、声が出たくない、と喉で必死にしがみついているような。

自分の頭にも疑問符が浮かぶ。

しかし、そんな私に吾妻さんは、至って冷静に声を掛けた。



「なるほど。うーん……みさおさん、俺の勘違いだったら、申し訳ないんだけど、もしかして今、誰かを連想してる?」

「え?」



「そんなことは」と言いかけて、ハッとする。