「そっか。みさおさんは、その彼氏さんの行動に気付かされたことがあったんだね」
「はい」
「それはどんなことだったか、教えてもらうことは出来る?」
「はい。彼は私とは、それほど本気で付き合ってる訳じゃないと思ってました。でも、それは私の中で勝手に決め付けてただけで、実際のところは真剣に想ってくれてたみたいです。それに気付けました」
「彼氏さんの行動が、彼がみさおさんを真剣に想ってくれていることを確信させてくれたんだ?」
「はい」
「なるほど。それは本当に良かったね」
そう言って、吾妻さんは微笑んでくれる。
ここで変に達成感を覚えたが、まだ終わってはいけない。
ここで終わったら、ただの惚気話になってしまう。
吾妻さんの微笑みにつられそうになった。
そうじゃない。
「あ、で! 相談って言うのは、ここからで!」
「あ! そうだよね! みさおさんが嬉しそうに話してくれるから、つい普通に聞いちゃってた。ごめん、ごめん」
「え、私、嬉しそうでした?」
私が問うと、吾妻さんはますます表情を柔らげて頷く。
「それはもう。大分前に家まで送っていった車の中で話してくれたときとは、表情も考え方も全く変わってる」
「あ……」



