「わかりました」
私の第一歩が、始まろうとしている。
そう思ってしまうと、気が重い。
それでも、未来に起こることを思えば、ここはしっかりしておかないと、と真面目に思える。
それに、1人で出来ないなら、たまには他人を頼るのも1つの手段だ。
ここは後悔しないために、吾妻さんの力をお借りしよう。
ゆっくりと息を吸い込む。
「今回、ご相談したいのは……自分自身について、です」
思い切って言ったのに、吾妻さんは僅かに驚いている様だった。
「え、な、何ですか」
「や、ごめん。何でもない。続けて?」
「時折、そんな顔して! 何もないはず無いじゃないですか。気になります。教えてください。でなきゃ、気が散って話せません」
「ええ……俺、そんなに顔に出てる? 普段はそこまでじゃないはずなんだけどな」
「ずっと出てます。この部屋の前で会ったときから」
「おかしいな……」
「吾妻さん、もしかして疲れますか?急遽、私の予定を入れてもらったから……」
「それは大丈夫! 本当に気にしいだなぁ。いや、みさおさんの悩みって、てっきり彼氏さんのことなのかなって、考えてて」
吾妻さんは頭を掻く。
「吾妻さんの言うように、彼氏との一件があって、あれからいろいろと気付いたことがあったんです」
「気付いたこと?」
「あの日、店を出るとき、最後に尋ねてくれたでしょう?」
「俺が?」



