羊かぶり☆ベイベー




「わかりました」



私の第一歩が、始まろうとしている。

そう思ってしまうと、気が重い。

それでも、未来に起こることを思えば、ここはしっかりしておかないと、と真面目に思える。

それに、1人で出来ないなら、たまには他人を頼るのも1つの手段だ。

ここは後悔しないために、吾妻さんの力をお借りしよう。

ゆっくりと息を吸い込む。



「今回、ご相談したいのは……自分自身について、です」



思い切って言ったのに、吾妻さんは僅かに驚いている様だった。



「え、な、何ですか」

「や、ごめん。何でもない。続けて?」

「時折、そんな顔して! 何もないはず無いじゃないですか。気になります。教えてください。でなきゃ、気が散って話せません」

「ええ……俺、そんなに顔に出てる? 普段はそこまでじゃないはずなんだけどな」

「ずっと出てます。この部屋の前で会ったときから」

「おかしいな……」

「吾妻さん、もしかして疲れますか?急遽、私の予定を入れてもらったから……」

「それは大丈夫! 本当に気にしいだなぁ。いや、みさおさんの悩みって、てっきり彼氏さんのことなのかなって、考えてて」



吾妻さんは頭を掻く。



「吾妻さんの言うように、彼氏との一件があって、あれからいろいろと気付いたことがあったんです」

「気付いたこと?」

「あの日、店を出るとき、最後に尋ねてくれたでしょう?」

「俺が?」