あの子のように、自信を持って、素直に気持ちを言えるようになりたい。

だって、あの子は何の躊躇いも無く、素直に言っていた。

『まだ帰りたくないんですぅ。先輩とまだ一緒に居たくて』

あんなこと、私じゃとても言えない。

馬鹿にしているんじゃない。

羨ましいだけ。



「……ずっと、このままなんて、やだなぁ」



あと少しで良いから、こんな自分を変えたい。

そう思ったとき、あることを思い出す。

そして、私のデスクへ駆け寄り、一番上の引き出しを開ける。

そこに密かにしまってあるのは、あの日、店長から手渡された、あの名刺。

ここに電話してみよう。

そうしたら、今のこのモヤモヤ、状況を打破することが出来るかもしれない。