「美味しい……!店長、好き!」
「え」
私がものすごい速さで顔を上げたからだろうか、店長は目を僅かに見開いている。
そんな表情も、なかなか珍しい。
店長は、しばらく私を凝視するものだから、私も不思議に思い、何気に青年の方へ首を向ける。
すると、店長と同様にその青年も目を見開いて、彼もまた私に釘付けになっていた。
「え……?何?ごめんなさい。お客さん、今何て?」
「え?」
店長が私に、間抜けに聞き返す。
だから、もう一度、素直にかつ簡潔にカクテルの感想を伝える。
「だから、店長、このカクテルの味、好き!最高!」
「あ……カクテルが、ね。それはどうも」
「また後で、同じもの戴けます?」
「もちろん」
何だか、別に辛い出来事の詳細を、誰かに聞いてもらわなくても、癒してもらえる気がした。
やっぱりここは、私のお気に入りの場所。



