店長はまだ私たちに背を向けて、お酒を準備してくれている。

つい先程まで、明るい雰囲気だったのに、気まずい気持ちになる。

それが私のせいだと分かっているから、尚更申し訳ない気持ちになる。

しかし、吾妻さんの顔をじっと見てみても、柔らかい表情で居てくれた。

何故かしら、彼から目が離せなくなる。



「まあ、ここに来たなら、考えるのは止めて、寛ぐのが良いんじゃない？旨い酒を飲んで、旨いメシも食ってさ」

「はい。そのつもりで、ここに来ましたから」

「本当に旨いから、ここのメシは」

「知ってます。そんなことくらい。もちろん食べ物も美味しいですけど、お酒はもっと絶品です」

「いーや、食い物が旨い！特に鉄板焼きが旨いね。なんなら、景気付けに奢ろうか！」



私が少し詰まった隙に、店長が間に入ってきた。

私の前にグラスをそっと置く。

相変わらず、また綺麗な色をしている。

今日は、鮮やかな緑色だ。

緑の中に炭酸が、キラキラしていて綺麗。