唐突なお誘いに、思わず身体が強張る。

いつもなら、流されてしまうところだった。

しかし、たった今は、その普段の自分の弱い意思を遮る程の、答えが決まっていた。



「あー……せっかくだけど、ごめんなさい。今日は、予定があって」

「どっか行くの?」

「う、うん。そう」

「……そっか」



ユウくんが分かりやすく、落ち込む。

胸がぎゅうっと、締め付けられる様な思いがした。



「じゃ、気をつけてね」

「あ、ありがと……」



微笑むでもなく、怒るでもなく、落ち込んだ表情のまま、そう言って去っていくユウくんに、控え目に手を振る。

しまった。

断るなど、慣れないことをしてしまったから、つい吃ってしまった。

でも、嘘ではない。

私はこれから、どこかへ行く。

それだけは、嘘じゃないから。