「なんか、みさおちゃん疲れてる?」
──全部が全部というわけではないけれど、一体どなた様のせいでしょう。
文句を言いたいのを抑えて、笑顔をつくる。
「今日は、いつもより仕事量が多かったからかな。でも、大丈夫」
「そっか」
ユウくんと会話をするとき、いつも受け答えがあっさりしている。
もう少し内容を広げてくれると、嬉しいと思うのだけれど。
思うだけで、文句は言えない。
なぜなら、私が口下手なくせに「もっとちゃんと話して」なんて、ただの人任せであって、我が儘だと思うから。
私は「うん」と、ただそれだけを言って、アイスコーヒーを啜る。
会話が続かない。
今朝の出来事があるからとかではなく、これは元々だ。
いつかに友人と「彼氏は気兼ねなく、一緒に居られる人じゃないとね」なんて話していたことがあった。
ユウくんと居るとき、私は残念ながらそうではない。
安易に付き合うことを承諾してしまって、ユウくんへ後ろめたい気持ちになる。
初対面でもスラスラ話せてしまったあの人のことが、何故かしら、ふと頭に思い浮かんだ。
また思い返していると、ユウくんに話し掛けられた。
「みさおちゃん、あのさ」
「ん?」
「今日、このあと予定ある?メシ、行かない?」