「あのさ……みさおちゃんってさ、俺のこと、本当に好きなの?」



何故かしら、ヒヤッとした。

何故だろう。言葉が出ない。

「好き」と一言、一瞬で言ってしまえば、この場のことは収まってしまうことであるのに。

全く、私らしくない。

いつも通りに、もっと、いつも通りにしなければ。

すると、ユウくんは続けて言った。



「好きな男が他の女の子と居て、ちょっとくらい何か思わない?みさおちゃんってさ……ちょっとズレてるよね」



あ、抑えないと。

今、一瞬だけ沸き上がった感情があった。

だけど、あくまでも平静を装わなければ。

そう、あくまでいつも通りに。



「なぁ……聞いてる?」



更に、顔を寄せられる。

それを私の手で阻止した。



「聞いてる。好きだよ」