「え、ちょっと待って…何……」
「とりあえず入って」
そして、背中を押される。
半ば押し込まれたといったところか。
後ろ手で扉を閉められ、密室となる。
周りを少し見渡し、ここが備品等の倉庫であることに今、気がついた。
「あのさ、昨日のことだけど」
こんな薄暗い部屋に連れ込んで、突然、話し始めたと思えば、そんなこと。
「昨日……」
「まさか、覚えてない?」
「覚えてないわけはないけど……」
昨日の別れ際に「気にしないで」と言ったはずなのに。
私は、もう気にしないように、無理矢理吹っ切っているのに。
悶々と悩んでいれば、ユウくんから一歩、距離を詰めてくる。
おまけに顔を覗き込まれ、緊張で体が強張る。
人生初の彼氏ということもあり、男の人に免疫がない。
緊張や焦り、不満により、顔がひきつっているのが、バレてしまってはまずい。
思わず、彼から目を逸らす。



