タイムカードを押して、廊下を無心で歩く。
また欠伸が出てくるのを、手で覆う。
そして、涙目を擦ると、前方からある人が歩いてくるのが見えた。
お互いに、何とも言えない距離感で立ち止まる。
「えっと……おはよう、ユウくん……」
「……はよっす」
昨日の今日で、とても気まずい。
つくり笑いも上手く出来ないこの顔を、一体どうしようか。
ひたすら、居たたまれなくなり、その場を去ろうとしたとき。
「ちょっと、こっち来て」
そう言って、ユウくんは私の手を引いて歩き出した。
普段は通り過ぎてしまっている扉の前で、足が止まる。
そして、ユウくんは私を開けた扉に促した。
少しの疑う心に、思わず躊躇う。



