夜が明けて、嫌がる私を、朝日がわざとらしく照らす。
支度を済ませれば、父親の車の助手席へと乗り込む。
行き先は、昨日のお店に行くために私の車を停めた駐車場。
助手席で欠伸をかます私に、父親が呆れている。
「まったく。困った娘だな」
「すみませんね。お手数おかけします」
父親に嫌味っぽく返した。
それに対して、また父親は溜め息を漏らす。
「遅くまで一人で呑むなら、護衛でもしてくれる男をつくれ」
「…………そんな逞しい男の人が、今時の日本に居るもんかね」
「そういうのを見極めてこい」
「無茶言わないでよ」
見極めたとしても。
好い人を見つけたとしても。
その相手が、必ずしも私を選んでくれるとは限らないのだから。
一度は選んでくれたとしても、やっぱり結局は、もっと好いところへ目移りしてしまうのだから。
駄目だ。
また昨日のことを思い出してしまった。
せっかく吾妻さんの親切のお陰で、薄れかけていたのに。
駄目だって。
親の前で泣けてきた。



