羊かぶり☆ベイベー




言われた通りに、吾妻さんの方に体ごと向け、少し寄る。

すると、直ぐに、吾妻さんの逞しい腕に包まれた。

声が震えて、小さくなってしまった台詞も、吾妻さんはしっかり聞き逃さずに居てくれたようだ。

私も、そっと背中に手を回す。

もっと体が強張るものだと思っていたのに、それよりも安心感があって、とても落ち着く。

──ああ、幸せだ、私。

そう思えば、また涙腺が緩み出した。

それと同時に、吾妻さんからも鼻を啜る音が聞こえてくる。



「ヤバい……。泣けてきた」



彼の広い背中を努めて優しく、トントントンと叩いてみる。

すると、それに応えるように、腕の力がやや強まった。



「ありがとね。大好き」



泣いている為か、吐息混じりの言葉を耳元で言われると、ゾワゾワして胸が疼く。



「吾妻さん。ちょっと、苦しいです……」

「ごめん。あとちょっとだけ」



力を少し緩めてはくれたものの、まだ離してくれそうもない。

だけど別に、私は構わない。

だって、離れたくないから。

今はメソメソして、可愛らしい吾妻さんだけど。

いざという時には、声を張り上げて、どんなに威圧的な相手であろうと叱り、守ってくれる。

さらには、私の心も支えてくれる、その実、逞しい人。

そんな好い人が、私を選んでくれた。