言われた通りに、吾妻さんの方に体ごと向け、少し寄る。
すると、直ぐに、吾妻さんの逞しい腕に包まれた。
声が震えて、小さくなってしまった台詞も、吾妻さんはしっかり聞き逃さずに居てくれたようだ。
私も、そっと背中に手を回す。
もっと体が強張るものだと思っていたのに、それよりも安心感があって、とても落ち着く。
──ああ、幸せだ、私。
そう思えば、また涙腺が緩み出した。
それと同時に、吾妻さんからも鼻を啜る音が聞こえてくる。
「ヤバい……。泣けてきた」
彼の広い背中を努めて優しく、トントントンと叩いてみる。
すると、それに応えるように、腕の力がやや強まった。
「ありがとね。大好き」
泣いている為か、吐息混じりの言葉を耳元で言われると、ゾワゾワして胸が疼く。
「吾妻さん。ちょっと、苦しいです……」
「ごめん。あとちょっとだけ」
力を少し緩めてはくれたものの、まだ離してくれそうもない。
だけど別に、私は構わない。
だって、離れたくないから。
今はメソメソして、可愛らしい吾妻さんだけど。
いざという時には、声を張り上げて、どんなに威圧的な相手であろうと叱り、守ってくれる。
さらには、私の心も支えてくれる、その実、逞しい人。
そんな好い人が、私を選んでくれた。



