「みさおさんの、彼氏になりたい」
瞬間、胸の奥でじんわりと、温かい何かが広がる感覚がした。
「え」
「友達は止めて、もっと近いところで、寄り添い合って居たい」
「え……。でも、私にとって、吾妻さんは恩人で、師匠で、神様みたいな存在で」
「神様?! 俺、神様なの? 恐縮するな、それは。俺、本当にそんなのじゃないから、もっと格を下げてもらいたいんだけど」
吾妻さんは冗談めかして言うけれど、私には本当のことだ。
だけど、先ほど吾妻さんは言ってくれた。
自分を抑え込んでまで、叶えてもらっても嬉しくない、と。
このお願いを、私の方こそ逃してしまったら、むしろ逆に自分を抑え込んでしまうことになる。
冗談を言って、少しでも明るく振る舞ってくれた吾妻さんも、不安そうに私を見ていた。
私の答は、覚悟は、もう随分前から決まっていた。
「みさおさん。素直に応えて。無理強いは、したくないから」
「無理強いなんて、ある訳ないじゃないですか。私……吾妻さんと、離れたくないです」
「みさお、さん……」
「吾妻さんが、好き」
今、心の底から想っている「好き」を伝えられた。
これは、取り繕う為のものなんかじゃなくて。
「好き」と伝えた相手の反応を見た、自分の反応を確かめるものでもなくて。
純粋な本心。
でも、不思議なことに、心の底から想う気持ちは、一度口から出てしまったら、溢れ出してしまうものらしい。
全く足りない。
「好き」なんかじゃ、足りない。
「吾妻さん程の人、どこを探したって居ないです」
「みさおさん。もう少しこっちに来て」



