「それに、みさおさんが頑張ってきた姿を見てきたから。けど、もう、みさおさんは、自身の力で目標を達成出来たから。俺の支えは必要ないよね」
支えなんて大袈裟かもしれないけど、と吾妻さんは、また謙遜をする。
止めてほしいのに。
「やだ……」
「でもね、みさおさん」
「私、吾妻さんが支えてくれたから、勇気を出せたんです。1人じゃ、きっと何も出来なかった。って、これも何度言わせるんですか。私にとって吾妻さんは……」
「うん……」
「吾妻さんは、恩人なんです」
私を見守る彼の瞳は、優しい。
そして、何故かしら、その瞳が揺れている。
きっと、私も。
「みさおさんに、そんな風に思ってもらえて光栄だな。だけど、みさおさんが目標を達成出来た今、俺は、みさおさんのカウンセリングを終わらせてもらいたいと思ってる」
そういうことか。
カウンセラーと、クライアントの関係も、それ以外の諸々のことも「カウンセラーの決まり」によって、解消しなきゃいけないのかな。
必要以上を詮索してはいけないから。
相変わらず、ふざけた会話を私が出来るのは、後にも先にも、この人だけだと思う。
唯一、私が心を許せた男性。
私の恩人。
恩人を困らせてはいけない。
せめて、物分りのいいフリをして、また何かしらの皮を被らなきゃ、と思った。
だけど。
「本当に、これで終わりになっちゃうんですか」
とてもではないが、出来そうもない。
「友達は、友達のままですよね……?」
こんなにも突然、終わりを告げられるなんて、あんまりだ。
今になって、私に気持ちまで伝えておいて。
縋るような思いで尋ねた。
しかし、吾妻さんは首を横に振った。
「それも、やめにしたい」
酷い。
友達は、吾妻さんからの提案だったくせに。
声にならず、静かに涙が頬を伝う。



