羊かぶり☆ベイベー




「それに、みさおさんが頑張ってきた姿を見てきたから。けど、もう、みさおさんは、自身の力で目標を達成出来たから。俺の支えは必要ないよね」



支えなんて大袈裟かもしれないけど、と吾妻さんは、また謙遜をする。

止めてほしいのに。



「やだ……」

「でもね、みさおさん」

「私、吾妻さんが支えてくれたから、勇気を出せたんです。1人じゃ、きっと何も出来なかった。って、これも何度言わせるんですか。私にとって吾妻さんは……」

「うん……」

「吾妻さんは、恩人なんです」



私を見守る彼の瞳は、優しい。

そして、何故かしら、その瞳が揺れている。

きっと、私も。



「みさおさんに、そんな風に思ってもらえて光栄だな。だけど、みさおさんが目標を達成出来た今、俺は、みさおさんのカウンセリングを終わらせてもらいたいと思ってる」



そういうことか。

カウンセラーと、クライアントの関係も、それ以外の諸々のことも「カウンセラーの決まり」によって、解消しなきゃいけないのかな。

必要以上を詮索してはいけないから。

相変わらず、ふざけた会話を私が出来るのは、後にも先にも、この人だけだと思う。

唯一、私が心を許せた男性。

私の恩人。

恩人を困らせてはいけない。

せめて、物分りのいいフリをして、また何かしらの皮を被らなきゃ、と思った。

だけど。



「本当に、これで終わりになっちゃうんですか」



とてもではないが、出来そうもない。



「友達は、友達のままですよね……?」



こんなにも突然、終わりを告げられるなんて、あんまりだ。

今になって、私に気持ちまで伝えておいて。

縋るような思いで尋ねた。

しかし、吾妻さんは首を横に振った。



「それも、やめにしたい」



酷い。

友達は、吾妻さんからの提案だったくせに。

声にならず、静かに涙が頬を伝う。