「あ、あれは……」
「また、忘れちゃった?」
「覚えてますよ! カミカゼです。カクテル言葉は…………」
「みさおさん?」
忘れた訳じゃない。
言いにくい訳でもない。
少し照れているだけだ。
2人で居るとき、普段はしない筈の緊張のせいで。
深呼吸で気持ちを落ち着かせてから、ゆっくり言葉を発する。
「『覚悟』そして『あなたを救う』なんですって……」
「……そうなんだ」
「『あなたを救う』って、まさに私にとって吾妻さんのことだ、って思いました。あのカクテル、ずっと吾妻さんだと思って、飲んでて」
自分で言っていて、小恥ずかしくなってくる。
顔が熱い。
照れ隠しで笑い掛けてみたが、思いの外、真剣な表情の吾妻さんが視界に映る。
「ちょっと、吾妻さん? 本当になんか変ですよ」
「みさおさん。今度こそ、俺、伝えたいことがあるんだけどさ」
「は、はい」
「俺、みさおさんのこと──」
私がじっと見つめていると、吾妻さんが言い淀む。
「そんなに、見ないで。照れるから……」
はにかむ吾妻さんが、可愛らしく思える。
そんなことを口に出すと、きっと、また大切な話が進まなくなってしまうと思い、ぐっと私の中だけで収めた。
「ごめんなさい」
「別に、良いよ」
「それで、伝えたいことって……」
「うん。みさおさん、気付いてたかどうか、分からないけど、俺、初めて会ったときから、みさおさんのこと、好きだった」
「なっ……。嘘……初めて会ったとき……?」
予想外のことに、茶化すことも、弄ることも出来ない。
ただ、見つめることしか出来ない。
また照れながら、止めろ、と言われたって、今はそれ以外することが出来ない。



