もっと早い段階で、確認していれば良かった。
そうすれば、もっと違う付き合い方が出来たのかもしれない、等といろんな思考を巡らせたところで、自身の答はとっくに決まっている訳だけど。
それでも、相変わらず気持ちを読み取れない表情に、私の胸の奥の方にある感情が、不安で僅かに波打つ。
既に半分以上、食べ進めていた彼は口に残ったものを飲み込むと、不思議そうに言った。
「何が」
「えっと……あの飲み会の日、私に声を掛けてくれたのは、何でだったのかな、って」
私が彼をじっと見ると、一瞬、目を逸らされた。
探っていると、察されたかもしれない。
そうだとしても、この際、構わない。
突然、何の脈絡も無く、可笑しなことを言い始めたのだから、そう思われたって仕様が無い。
私なら、そう割り切れるのに、なかなか言葉を返してこないユウくんは、やや動揺しているように見える。
質問を投げ掛ける前までの、無気力のような、威圧しているような態度から、落ち着きの無くなったユウくんをしばらく見ていた。
「──みさおちゃんが良いから、今は」
「私は、今の話をしてるんじゃなくて……」
ようやく出たと思った言葉は、激しく的を外していた。
そもそも「私が良い」なんて、本当にそんなことを思っているのかさえ、疑わしい。
より違和感を強めていく。
じっとユウくん見つめる私の変わらない態度に、彼は溜め息を吐いた。
「最初のことなんて、今更、気にしなくても良くない?」
そんな、あまりにも投げやりな、もしくは答から逃れようとしているような台詞。
納得がいかないのに、口下手で人の顔色ばかり窺ってきた私では、他人の話の引き出し方が、やっぱり未熟だ。



