ユウくんとの気まずい雰囲気が、また訪れて、ソワソワしてしまう。

机の木目を数えて、気を紛らわしてみても、飲み物が来るまでの時間を凌げる気がしない。

耐えかねて、カウンター席を盗み見る。

カウンター席では吾妻さんと、飲み物を準備している店長が、以前来た時と変わらず、親しげに話している姿が目に入った。

──いいな。私もあっちに行きたい。

だって、毎回ここへ来る度、私は吾妻さんの隣に座って居て、店長も交えて3人で談笑していた。

何より、居心地が良かった。

変な気遣いも要らない。

それだけで、いや、それこそが私にとって憩いの時間となるのに。

何気なく、正面へ視線を戻すと、恐らくまた、こちらをじっと見ていたユウくんに気付いてしまった。



「ど、どうした、の?」



恐る恐る首を傾げながら、尋ねてみる。

いつになく一切ぶれない、その瞳は少し不気味だ。

機嫌が悪いようにも捉えられる。



「ユウく──」

「みさおちゃんって、あんな風に話せるんだ?」

「あんな風に、って……?」

「店の人と喋るみさおちゃん、俺が見たことないくらい、めちゃくちゃ表情明るいし、全く吃ってないし」



あんな風に「話せるんだ」なんて。

随分と私を軽んじた言い方をするものだ。

例え、彼にその気が無かったのだとしても、私にはそう感じ取れてしまう。

心外だ。

あまりにも納得がいかなくて、嫌な雰囲気を醸す彼の視線から、私も負けじと逸らさないようにした。