「今日は、どう感じ取ってくれるのか、元気を取り戻してくれるだろうか、と。セレクトを試されていると思うと、燃えてしまうんです」



顔に出ない分、考えていることが意外過ぎる。

中身は結構、熱いお方らしい。

予想外過ぎて、思わず店長の顔をよく観察してしまった。



「お客様?」

「あ、いえ。次回、お邪魔したときは是非『おまかせ』よろしくお願いします」

「わかりました。では、今日はノンアルコールも無しですか?」

「そうですね。アルコール、欲しくなっちゃうので」

「では?」

「うーん……私は黒烏龍茶で」



ユウくんに飲み物を尋ねようと、彼を見た瞬間、いきなり視線がかち合う。

一瞬、息を止めてしまった。



「ゆ、ユウくんは……? どうする?」



私はあくまで笑顔を作りながら、メニューを広げる。

すると、ユウくんは我に返ったような、気を取り直したような何とも言えない反応を見せ、飲み物を選び出す。

──びっくりした……。

正直、怖かった。

私が見た瞬間、顔が既にこちらを向いていたようだ。

それに、強い念らしきものが感じられた。

その念、感情が私に向けてなのか、もしくは他の誰かに向けられたものなのか、断定は出来ないが。



「俺も同じもので」

「黒烏龍茶、お2つですね。かしこまりました」



注文を受けると、店長はカウンターへ戻っていく。

すると、再び私の体は、強張り始めた。

せっかく店長との会話で、リラックス出来ていたのに。