「ああっ!」
「えっ、なに? どうしたの?」
「す、すみません。まだ私、やることがありました。先輩、気になさらず、先に上がってください」
「いいの? 何か手伝えることがあれば、手伝うよ」
「だ、大丈夫です。お気持ちだけ頂きます。ありがとうございます」
「そう? じゃあ……あんまり遅くなり過ぎないようにね」
「ありがとうございます。お疲れ様です」
お疲れ様、と返してくれた先輩は、未だに私を気遣ってくださりながら、ゆっくりとオフィスを出ていった。
そして、私はスマホ画面を立ち上げる。
1件の不在着信があった。
「吾妻さん……折り返しくれてたのに」
不在着信の画面から、また吾妻さんへこちらから掛け直し、廊下へ駆け足で出た。
しかし、またその相手に繋がることはなく、空しくも呼び出すのを止めた。
このまま帰ろうか、どうしようかとも悩んだ。
これは完全なる無断キャンセルだ。
吾妻さんにも、毎回いろんな準備などをしてもらっているのに。
それに、私がもっと早く事前に連絡出来ていれば、他にカウンセリングを受けたい人が、当日でも予約に入れたかもしれないのに。
非常に申し訳ない。
悩んだ挙げ句、駄目元である場所へ向かうことにした。



