羊かぶり☆ベイベー




「ああっ!」

「えっ、なに? どうしたの?」

「す、すみません。まだ私、やることがありました。先輩、気になさらず、先に上がってください」

「いいの? 何か手伝えることがあれば、手伝うよ」

「だ、大丈夫です。お気持ちだけ頂きます。ありがとうございます」

「そう? じゃあ……あんまり遅くなり過ぎないようにね」

「ありがとうございます。お疲れ様です」



お疲れ様、と返してくれた先輩は、未だに私を気遣ってくださりながら、ゆっくりとオフィスを出ていった。

そして、私はスマホ画面を立ち上げる。

1件の不在着信があった。



「吾妻さん……折り返しくれてたのに」



不在着信の画面から、また吾妻さんへこちらから掛け直し、廊下へ駆け足で出た。

しかし、またその相手に繋がることはなく、空しくも呼び出すのを止めた。

このまま帰ろうか、どうしようかとも悩んだ。

これは完全なる無断キャンセルだ。

吾妻さんにも、毎回いろんな準備などをしてもらっているのに。

それに、私がもっと早く事前に連絡出来ていれば、他にカウンセリングを受けたい人が、当日でも予約に入れたかもしれないのに。

非常に申し訳ない。

悩んだ挙げ句、駄目元である場所へ向かうことにした。