私は吾妻さんを、じっと見つめ返す。
すると、吾妻さんは、また苦笑いをした。
「ちょっと、何。別に変なこと、考えてないって」
「…………分かってます、よ」
「何、その間は。俺は、あなたが心配だからですよ? みさおさん」
「だから、分かってますって」
「ちょっと休憩するだけだから」
「……その台詞は、とても嫌です。気持ち悪いです」
「あ、みさおさん、このネタ伝わるんだ。なんかショック」
「黙ってもらえますか」
いつものおふざけが始まって、埒があかなくかる前に、ちゃんとお願いする。
「何から何まで、お世話かけます。少しの時間だけ、お邪魔しても良いですか」
私はそう言って、頭を下げた。
「顔、上げて。辛いときは無理繰り押さえ付けたら、いけないんだよ。気の済むまで居てくれて良いから」
吾妻さんは扉の鍵を開け、扉を押す。
そして、私を中へと促した。
1人部屋は、私たちの宿泊している2人部屋より、やや小さいだけで、基本的な造りは変わらない。
和室で、畳には既に、布団が1組が敷かれていた。
吾妻さんは部屋の鍵を端に寄せられた机に置き、こちらを振り向いた。
「好きなところ、座っていいよ」
「は、はい」
「あれ? もしかして、緊張してる?」
「し、してません」
「止めてよー? こっちが意識しちゃうでしょ」
この手の軟派な冗談には、以前なら嫌気が差していたのに。
今では、顔が熱を持ち始めて、反応に困る。
反応出来ず、固まっていると、吾妻さんが備え付けの緑茶のティーパックを湯呑みに、準備し始めた。
私は慌てて、駆け寄る。
「お茶なら、私が煎れます。そのくらいはさせてください」
私が手を出そうとすると、偶然吾妻さんの指先が触れた。
「あっ、ごめんなさい」
すると、吾妻さんは溜め息を吐く。



