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カウンセリングの翌日。

私はつい先ほど、ユウくんと約束した鍋料理のお店に到着したところだった。

約束の10分前。

私たちの夕食デートは、基本、現地集合だ。

これについて私は特に思うことも無いので、もし文句を言う人が居ても何ら気にしない。

とりあえず、メッセージアプリで到着報告くらいはしておこう。

アプリが起動すると同時くらいに、見知った車が駐車場に入ってきた。

向こうも私に気付いたようで、偶然空いていた私の隣に駐車した。



「お疲れ様です」



先に私が降りて、ユウくんを出迎える。



「お疲れ。待たせた?」

「ううん。私もさっき着いたところ」



彼は相変わらずの無表情で「そっか」と返すだけだった。

そして、そのまま店内へと向かう。



「2人で予約した、繁田です」



入るなり、ユウくんは店員に言った。



「ありがとう……予約してくれてたの?」

「念のため」



シンプルに答えるだけで、やはりそれ以上は無かった。

店員に促され、彼の後に続く。